石油から見る世界情勢

1.天然資源という大きな利益に対する争い

アメリカは戦略的に中東の石油を手中に収めることを目的として戦争を仕掛けてきた歴史があります。

湾岸戦争を皮切りに、イラク戦争や9.11をきっかけにアフガニスタンとも泥沼の戦争を繰り返してきたのです。

その主たる目的が油の権益であり、血と油の戦いを幾度となく繰り返してきた歴史があるからなのです。

アメリカが戦争をするために大義名分を得るためには、緻密な工作活動を行います。

それが正当性のある戦争の理由であるかのようにアメリカ国民を納得させ、アメリカの防衛と世界平和という大義名分のために戦争を始めることを常に目的としていることを理解しておく必要があるのです。

イラク戦争とアフガニスタン戦争では、どちらともテロとの戦いを大義名分として掲げて戦争を始めたものの、よくよく分析をしてみるとそれだけで米国が戦争を始めるわけもなく、その裏側には大きな利益があることが分かります。

その一つに、米国が戦争を始めるときには国内経済が低迷していてデフレが進んでいること、さらに戦争を仕掛ける国に天然資源などの利益があることなどが考えられます。

特に、アフガニスタンにはトルクメニスタンからパイプラインが敷かれており、そこを通って天然ガスが輸送されていたことから狙われたのではないかとの見方が専門家の間で強く残っているのです。

実際、アメリカはテロとの戦いという大義名分を掲げ、アフガニスタン内のアルカイダの一掃討作戦を実施しました。

そのような事実もあって、アメリカは見事アフガニスタンとイラクを手中に収めることができたのです。

2.アメリカが行ってきたオイル利権への関与

一見何も関係がなさそうでありながら、アメリカが戦争を仕掛けるときには石油と経済戦略との密接な関係があり、それをカモフラージュするための物語づくりをCIAを中心として綿密に行うのです。

イラクについてはフセインを倒し、石油利権を上手く手中に収めることで、将来に渡ってイラクのオイル権益をアメリカが独占するための筋書きを見事描いて見せることに成功したのであります。

アメリカの後ろをチョロチョロとコバンザメのようにうごめいている日本に関してですが、日本は憲法9条があることからアメリカのように戦争を仕掛けたり、積極的に戦地に自衛隊を派遣することは今のところできません。

そのため、石油を手にしたいからと行って日本が他国に戦争を仕掛けるということはまずありえないのです。

それでいて、世界第3位の経済大国であり、資源の乏しい日本に関してオイル利権とは無関係で清廉潔白であるとは言い難い状況にあります。

日本は中東のオイルへの一辺倒をやめて独自ルートを開拓する努力を行っています。

例えば、イランから輸入を図ることにより中東への偏重を緩和する目的があるからです。

特に、中東では将来的に原油が枯渇することが予想されていることから、中東への偏重を早くから脱却して独自路線を模索する必要がありました。

そこで目をつけたのが産油国であり、核の力を背景にアメリカと長年他律を続けてきたイランだったのです。

アメリカの言う事なら何でも訊く犬のような印象が強い日本ではありますが、それでもアメリカの影に隠れていろいろと作戦をねってきたのです。

3.資源の乏しい日本が行った作戦

アメリカは長年イランと対立を続けていることから、イランから日本が原油を輸入していることに関しては時々アメリカから睨まれることはありませんが、制裁の対象からは上手く逃れてルートを確保し続けることに成功しています。

アメリカから睨まれて世界的な孤立を深めるイランにとっても、日本への原油の輸出は数少ない外貨獲得手段でもあり、また、強い後ろ盾を得ることにつながっているため、双方の利益が一致した動きであることがわかるのです。

日本はアメリカのように戦争から石油利権を得ることは不可能ではありますが、政治的な交渉術を生かして独自路線の拡大を模索してきました。

その一つがイランの石油利権と密着に関わることで、自国の経済並びに国民生活の安定を図ることに成功してきたのです。

オイル利権に関しては、やはりアメリカやイギリスをはじめ欧米の主要国が力を持っているものの、その隙間をうまく塗って自国の利益の追求を行っているのが日本であります。

日本は、戦後資源の乏しいでありながら経済発展を遂げることができた背景には、オイルの存在があります。

アメリカを通じて中東のオイル利権を自国にもたらしてくることに成功してきたものの、いつまでもアメリカを当てにしていては、リスクに直面した際に国内が大混乱に陥ってしまうことを懸念しています。

実際、1970年台にはオイルショックを受けて国内経済が大混乱に陥ってしまったという苦い経験があります。

そこで、イランなどの原油産出国との関係を独自に深めることにより、こうした失敗を二度と繰り返すことがないように先手を打ち、対策を講じているのです。

一見平和に見える日本もしっかりとオイル利権には関与しているのです。

最終更新日 2025年7月28日 by koseyy

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